このページでは、就労継続支援利用者における「農業」のメリット・デメリットをわかりやすく解説しています。また、ページの監修として「椎茸栽培」をしている就労継続支援事業所を紹介しています。
【目次】
農業は定型的な作業が多く、細分化して切り出しやすいのが特徴です。単純作業の繰り返しになるため、工程の多い複雑な作業が苦手な人でも始められます。また、資格や専門的なスキルも必要ありません。屋外農業なら太陽の下で緑に囲まれながら、屋内農業なら空調の整った広々空間で作業できるため、身体的にも精神的にもストレスが少ないでしょう。
日本では、外国人労働者や結婚後に再び社会進出する女性が増え、就職の競争が激化しています。一方、農業は従事者の高齢化と人手不足が深刻な問題になっています。就職におけるライバルが少なく、資格や専門的なスキルがなくても始められるため、就労継続支援利用後の未来を切り開きやすいのです。
育てた農作物は、就労継続支援利用者の手で梱包したのち、スーパーの売り場に陳列されます。自分が手掛けた農作物が、普段利用するスーパーに商品として並ぶ喜び、実際に自分や家族も購入して食べられる喜びから、作業のやりがいを感じやすいでしょう。
基本的に屋外での作業となる原木栽培(りんご、梨等)は、太陽の下で伸び伸びと働けるメリットがある反面、雨や雪、台風など、天候の影響を受けやすいデメリットがあります。また、夏場は猛暑、冬場は寒さの影響を受けやすいため、天候や季節によって体調が左右されやすい人は屋内栽培の農業を選んだほうが良いでしょう。
栽培する農作物によっては、栽培・収穫できる季節が限定的で、年間を通して安定収量が見込めないものもあります。大垣市を代表する農作物で言えば、椎茸・わさびは1年中栽培・収穫が可能。アシタバの時期も4月から12月までと長めです。米は年1回(9月~10月頃)、ブロッコリーやさといも、いちごは冬から春にかけて収穫できます。
就労継続支援における農業の魅力を知るため、大垣市内で農業を行っている多機能事業所「ベジファームおおがき(B型・A型)」の1日に密着しました(取材協力・画像提供元:株式会社ゼロックス)。
大垣市特選推奨観光土産品やふるさと納税返礼品を生産
大垣市で早くから農業と福祉の連携に着目し、農業の人材不足と福祉の就労課題解決に取り組んでいる会社。水の都『大垣』の地下から汲みあげた良質な天然水を使用して、無農薬栽培で自社ブランド「大垣椎茸」を生産・販売しています。
大垣椎茸は、マックスバリュー、JAにしみのファーマーズマーケット、Mikawaya、平和堂アルプラザなどで通年販売されているほか、「大垣市特選推奨観光土産品」や「大垣市ふるさと納税の返礼品」にも認定されているのが特徴です。
A型利用者は9時始業、B型利用者は9時半始業です。太陽の光が差し込む明るい作業所で、体調確認と当日の作業説明を受けた後、ラジオ体操で身体を動かしてから作業に移ります。
A型利用者は、主に次のような作業を行っていました。工程ごとに作業が分かれているので集中しやすく、複数のことを覚えるのが苦手な方でも取り組みやすいでしょう。
B型利用者は、主に次の作業を行っていました。これから出荷する商品へと形にしていく作業なので、やりがいを感じやすいでしょう。
B型・A型のいずれも午前中に小休憩(10分)を1回、午後に長めのお昼休憩(60分)を1回取ります。休憩中の過ごし方は様々で、一人で本やスマートフォンを見て過ごしている方もいれば、作業の進捗具合や昨日に見たテレビの内容を他の利用者と楽しそうに話している方もいました。
ちなみに、B型利用者は、昼食時間に無料の日替わりランチを食べられるとのこと。栄養バランスの整った、温かくて美味しそうな食事を無料で食べられるなんて、お昼時間が楽しみになりそうです。
B型・A型のいずれも、午後の作業時間(30分~90分)と終了時間(14時半~15時半)を自由に決められます。作業終了後は、15時半まで残っているメンバーで終礼を実施。作業日報の記入、体調確認、その日の作業で頑張ったことや難しかったことの振り返りを行います。
ちなみに、B型利用者は交通費補助が出るとのこと。車の場合は自宅と事業所の距離に合わせて一部交通費を補助しており、公共交通機関は障がい者割引が適用される場合はその半額(片道分)。適用されない場合は通常料金の半額(片道分)を補助してくれるので、通所にかかる金銭的負担を減らせます。
今回ベジファームおおがきを取材させていただき、「農業」のイメージが良い意味で大きく変わりました。「泥まみれ・汗だくで行う力仕事」のイメージが強かったのですが、実際の作業環境は空調の効いた室内で行われていたためです。
作業についても、菌床を丁寧に手入れしたり、育った椎茸を収穫して梱包したりする、農業初心者でもチャレンジしやすい内容がほとんどです。休憩時間・昼食の楽しみもあり、やりがいをもって働きやすい環境だと感じました。
自分たちがつくった椎茸が実際にスーパーに並んでいる様子を見た際には、生産に携わった人にしか味わえない達成感や嬉しさを感じられるでしょう。
数ある農作物の中でも「しいたけ栽培」にこだわっている理由について、ベジファームおおがきで働いている職員さんに直接話を聞いたところ、次のようなメリットがわかりました。
しいたけは、季節を問わずに1年中栽培・収穫できるのが魅力です。ビニールハウス内で栽培するため、雨、台風、雪などの影響もほとんどありません。1年通して安定した量を生産・販売できるため、利用者さんの作業内容が時期によって変わることもなく、慣れ親しんだ作業を繰り返し続けられます。
しいたけ栽培は室内(ビニールハウス内)で行われるため、夏場はジリジリと照りつける日差しを避け、冬場は冷たい風にあたることなく作業できます。室内は冷暖房が完備されているので、夏は涼しく、冬は暖かく快適です。気温差によって体調が左右されやすい方でも働きやすい環境だと言えるでしょう。
しいたけは、早ければ1週間ほどで収穫できるのが特徴です。短期間で目に見える形になるため、「やりがい」を感じやすいでしょう。ちなみにワークステーション大垣は、しいたけ収穫後の梱包、シール貼り、搬入、陳列まで行っています。自分たちの手がけた椎茸がスーパーに並び、いろんな人が手に取っている様子を見ることができるのです。
大垣市特選推奨観光土産品やふるさと納税返礼品を生産
大垣市で早くから農業と福祉の連携に着目し、農業の人材不足と福祉の就労課題解決に取り組んでいる会社。水の都『大垣』の地下から汲みあげた良質な天然水を使用して、無農薬栽培で自社ブランド「大垣椎茸」を生産・販売しています。
大垣椎茸は、マックスバリュー、JAにしみのファーマーズマーケット、Mikawaya、平和堂アルプラザなどで通年販売されているほか、「大垣市特選推奨観光土産品」や「大垣市ふるさと納税の返礼品」にも認定されているのが特徴です。
所在地 | 岐阜県大垣市小野4丁目57 |
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アクセス | 樽見鉄道「東大垣駅」出入口より徒歩14分 |
工賃目安 | A型: 月額平均85,811円 B型: 月額平均19,364円 |
労働時間 | A型:月曜~金曜(祝日除く)9:00~15:30 B型:月曜~金曜(祝日除く)9:30~15:30 |
主な作業内容 | A型:自社ブランド「大垣椎茸」栽培ハウス内での栽培補助作業、収穫作業 B型:自社ブランド「大垣椎茸」の仕分け、包装、加工作業 |
利用定員数 | A型:10名 B型:10名 |
利用対象 | 身体障がい/精神障がい/発達障がい/知的障がい/難病(B型・A型共通) ※障がい者手帳や療育手帳がなくても、医師の診断や意見書で利用可能になる場合があります |
問い合わせ番号 | 0584-71-7900 |
公式サイトURL | http://www.zerox.co.jp/vegefarm-ogaki.html |